金太郎劇場 四十九日法要

 お袋の四十九日忌明け法要を梅雨の明けた七月十八日に行った。

 四十九日法要は閻魔大王が故人に極楽へ行けるか否かの審判を下す日。正座して一生懸命に追善供養をした。

 が、長いお経にだんだん足がしびれモジモジする。それにつれて集中力がなくなり、線香を立てる場所を間違えてしまう。新しい線香をお香の灰に立ててしまった。

 ああー、どんな審判が……。

 リボンの付いた額に凛とおさまったお袋が「康夫!心配するな」とい言っているようで安心した。

金太郎劇場 苦手

 ジメジメした朝。庭掃除をしていると、見かけないものに出会った。

 長さ20センチ位であめ色をしている。細いゴムひものように見えた。

 しかし、箒がふれると動くではないか。見たこともない。これが生き物か?

 気持ちが悪いので、そのままそっとしておいた。太くて短い私は、細くて長いものが苦手。
 
 しばらくして、家内にそのことを話すと、みみずなら庭にいるよと、そっけがない。

 いや、みみずでない。まだその辺りにいるはずと、さがしてみたがいなかった。

金太郎劇場 腰痛

 忌中法要のときだった。

 私の仕草を見て、庵主さんが「腰、痛めやぁーたか?」と介護疲れを気づかってくれた。

 知らぬまにアゴを突き出し、腰をかばい、ヒザを少しまげて歩く「老人歩き」になっていた。筋トレで痛めたとは言えず、ただ苦笑いするばかり。

 介護が無くなり、油断したわけではないが……。それにしても、介護中でなくて良かった。

 腰が曲がり、腰痛に悩まされたお袋さんからの「なんでもほどほどにしやあ」の忠告に思えた。

金太郎劇場 別れ

 新聞の訃報欄を見た業者が入れかわり立ちかわりやってきた。

 香典返しのカタログが高さ20センチ、重さ18キロにもなった。

 まだ何も見ていない。見る気がしない。お袋は老衰で亡くなったので、天寿を全うしたと言っていい。赤飯で祝うところだが……。

 しかし、何かさびしい。

 お袋さん!さようなら。ありがとう。

金太郎劇場 お迎え

 アッ!息が止まっている。

 もうダメだと思いながら肩をゆするとふ〜っと息をした。私もそれに合わせて肩で息をする。

 入眠時の無呼吸はお迎えが近いと言われていた。

 お袋は大きなピンチを三度も乗り越えた。

 犬の散歩中の転び脳出血で入院したとき。誤嚥性肺炎で高熱が出たとき。そして、自己呼吸が困難で人工呼吸器をしたとき。

 いやまだあった。二度、大腿骨骨折し人工骨を入れる大きな手術のときもピンチだった。

 何度も奇跡を起こしたお袋に、やっとお迎えがやってきた。

 享年96歳。老衰だった。